子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
高校までは自転車通学。
両親の帰りが遅い日は、わたしが夕飯を作ってあげたりしているから、すぐ家に帰れるよう近くの高校を受験した。
「おはよう、綾瀬」
まだ一般生徒が登校するには早い時間で、誰もいないはずの教室には藤ヶ谷 慧斗くんがいた。
まだ一度も染めたことがなさそうな綺麗な黒髪と黒縁メガネがトレードマークの藤ヶ谷くんは、あまり社交的ではないけれど女子から隠れ人気があるイケメンだ。
「おはよう、藤ヶ谷くん」
そんな彼もわたしと同じ生徒会メンバーで、副会長をやっている。
言わば、わたしの右腕のような存在だ。
仕事も早くて、いつものように助けられている。
「もう生徒会室行く?」
「そうだね、もう椎名あたりは来てそうだし」
まだ静かな校内を歩いて、3階にある生徒会室へと向かった。