子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
グイッと腕を引かれて体のバランスを崩したわたしは、すっぽりと天馬くんの腕の中に収まる。
突然の出来事に頭が混乱して、思考が停止する。
「て、天馬くんっ!? 何して……」
やっとの思いで声を出すと、わたしの唇に天馬くんの人差し指が添えられた。
「しーっ。 大きな声出したらみんなに聞こえちゃいますよ」
そう言う天馬くんはとても意地悪な顔をして、ニコニコと笑っていた。
資料室の大きなドアには、窓がある。
そこから生徒会室と資料室をお互いに見えるようになっているのだけれど……
天馬くんに引っ張られた先のこの角は、ちょうど生徒会室からは死角になる。
だから、みんなにわたしたちの姿は見えていない。
天馬くんはそれを知っているのだろうか。