子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「綾瀬会長と今、ふたりきりですねっ」
満面の笑みを浮かべる天馬くん。
それはもう、とても楽しそうに。
わたしは、この姿がみんなに見えてしまうんじゃないかと気が気じゃない。
「天馬くん、早く戻らないと……」
どうにか気を逸らそうと、説得する。
……けれど、そう上手くいかないのが天馬くん。
「綾瀬先輩って、恋したことありますか?」
「……へっ?」
急な"先輩"呼びにドキッとして、唐突な質問に言葉が詰まる。
恋なんて……わたしには無縁すぎてわからない。
戸惑うわたしに、天馬くんがフッと笑う。
「じゃあ、僕が教えてあげますよ、いろいろなコト」
「……っ」
そう言って意地悪に笑った天馬くんは、ぎゅっと、でも優しくわたしを抱きしめる。
「これは充電です」
抱きしめられたわたしの体は、充電中のモバイルバッテリーのように、ほんのり熱を持っていた。