子犬系男子の甘い溺愛が止まらない



「綾瀬会長と今、ふたりきりですねっ」



満面の笑みを浮かべる天馬くん。


それはもう、とても楽しそうに。


わたしは、この姿がみんなに見えてしまうんじゃないかと気が気じゃない。



「天馬くん、早く戻らないと……」



どうにか気を逸らそうと、説得する。


……けれど、そう上手くいかないのが天馬くん。



「綾瀬先輩って、恋したことありますか?」


「……へっ?」



急な"先輩"呼びにドキッとして、唐突な質問に言葉が詰まる。


恋なんて……わたしには無縁すぎてわからない。


戸惑うわたしに、天馬くんがフッと笑う。



「じゃあ、僕が教えてあげますよ、いろいろなコト」


「……っ」



そう言って意地悪に笑った天馬くんは、ぎゅっと、でも優しくわたしを抱きしめる。



「これは充電です」



抱きしめられたわたしの体は、充電中のモバイルバッテリーのように、ほんのり熱を持っていた。




< 42 / 269 >

この作品をシェア

pagetop