子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「奇遇ですね。 僕も綾瀬会長のことが大好きなんですよ」
「あぁ、知ってる」
あぁ、つまんない。
呆れてしまったのか、面倒くさくなったのか、こっちから仕掛けてみても、だんだんと反応が薄くなる。
なんか、ムカつく。
先輩としての余裕なのか、なんなのかわからないけど。
僕のことをライバルとしても認識してもらえていなさそうなところが特にそうだ。
「副会長」
資料に視線を戻して、作業の続きを始めた副会長を呼んで、手を止めさせる。
「僕、遠慮なんてしませんから」
宣戦布告だ。
勝手にイラついて、そんなことをしてしまっている自分は、本当に悔しいくらい子どもだと思うけど。
最後の資料を棚から取り出して、副会長の目の前にドカッと置く。
「絶対、僕が綾瀬会長を振り向かせる」
何かの捨て台詞のように言い残して、資料室を出た。