子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「……なんでもないよ!」
「ふーん?」
わたしが必死に誤魔化そうとしたけれど、仁奈ちゃんは納得していないようだった。
「あとでじっくり教えてね?」
すっかり何もかもお見通しの仁奈ちゃんは、わたしと藤ヶ谷くんをキョロキョロと見て、耳打ちしてきた。
相談したい、聞いて欲しい。
心のどこかでそう思っていたわたしは、静かにコクンと頷いた。
その後すぐに授業が始まってしまい、仁奈ちゃんは自分の席へと戻ってしまった。
仁奈ちゃんがいたから冷静さをなんとか保っていられたものの、そばにいなくなってしまうと落ち着かない。
隣の席の藤ヶ谷くんは、嫌でも視界に入ってしまう。
意識しすぎて見てしまっていたようで、こちらを見た藤ヶ谷くんと目が合ってしまった。