子犬系男子の甘い溺愛が止まらない



わたしの後は、各委員会の委員長が活動報告をしていく。


委員長たちの言葉に耳を傾けながらも、無心でなんども確認した資料に目を通していた。



「お疲れ様です、綾瀬会長」


「……あぁ、うん。 ありがとう天馬くん。 さっきも助かったよ」



周りに聞こえないように小声で話しかけてくる天馬くんに、わたしも同じく小声で返す。



「いえいえ。 でも、綾瀬会長がぼーっとしてるなんて珍しいですね。 何かありました?」



コテンと首を傾げて、心配そうにわたしを見つめる天馬くん。


わたしの頭の中を天馬くんからの"好き"と藤ヶ谷くんからの"好き"の言葉が流れていく。


あぁ、せっかく集中して考えないようにしていたのに。



「顔、赤いですよ? 具合悪いんですか? 目にクマもできてるし、眠れないくらい悩んでるとか……」



天馬くんも仁奈ちゃんみたいな鋭さだ。


何もかも見透かされているみたい。



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