子犬系男子の甘い溺愛が止まらない



───放課後。



部活が始まる前に体育館を元通りにしなければいけない。


帰りのホームルームが終わるなりすぐに体育館へ集まって、長机やパイプ椅子を片付けていく。



「パイプ椅子こっちに入れて」



ガラガラとパイプ椅子用の台車をステージ裏の倉庫から引っ張ってきたのは、藤ヶ谷くん。


そういえばさっき、なんだか気まずくて声かけられる前に教室を飛び出してきちゃったんだよね。


あんまり気にしていなさそうだから、大丈夫だと思うけど……


藤ヶ谷くんの言う通り、ちょっと意識しすぎてるのかもしれない。


なるべく普段通りにしようと心がけてはいるんだけれど、昨日の今日でそれはさすがに難しすぎる。



「寝不足らしいけど、大丈夫?」


「わぁっ!?」


「……そんな驚かなくても」


「あっ、うん、そうだよね……ごめんね」



そうは言われても、突然話しかけられたらびっくりするよ。


さっきまで藤ヶ谷くん、向こう側にいたはずなのに。



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