転生シンデレラ~シンデレラは姉様に幸せのドレスを用意する~
お母様が欲しがったという無駄に大きい屋敷の中央階段を駆け下りると、そこには使用人に大きな布を渡されているびしょ濡れのお父様がいた。

生きていた。

私はほっとして大きな声でお父様を呼んだ。

「お父様!」

「セーラ!」

お父様は大きく両手を広げて、飛び込んでくる私を受け止めようとした。

が、走り寄った私は、思わずその手前で立ち止まった。

待って。

お父様だけじゃない。

雨がひどかったからか、フードをかぶったままの女の人が、三人。

後ろに控えるように、セディアス。

「お父様?
貿易商のお父様が客人を連れてくることは少なくない。しかし、旅から帰ってくる時だけはお父様と私とセディアスの三人だけ。家族だけで過ごしていたはずだ。

「ああ、セーラ。紹介しよう」

お父様は少し困ったように広げた手を元に戻し、その女性たちのほうを向いた。

それを受けて、女性たちはフードを外した。

思わず使用人から感嘆の声が漏れる。

そこには、それはそれは美しい、淡い金髪と透き通るような空の瞳の女性が三人立っていたのだ。

私と同じ年頃か、少し上の少女が二人。つまり一〇代半ばから後半の少女だ。そして、そっくりだが三〇代に見える人がその母親だろう。

女性が来るときは、たいていはエスコートする男性が付いてくる。しかし、後ろにはセディアスしかいない。

どういうことだろう。私はお父様のほうに目をやった。
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