転生シンデレラ~シンデレラは姉様に幸せのドレスを用意する~
私はにこりと微笑んだ。

「ようこそバーリー家へ。私は当家の跡取りの、セーラフィーネ・バーリーと申します。これからよろしくお願いしますね、お義母さま、お義姉様。ええ?」

ふらりと。

倒れこんだのはお義母様だった。

「お母様!」

「お母様!」

慌てて寄り添う二人の娘。おろおろするお父様と使用人たち。

ここで倒れるべきなのはむしろ私じゃないの?

これでは私がまるで悪人みたい。

私はため息をついて、ふんと気合を入れ直した。

新しい家族はたぶん海の向こうの国の人。長旅、しかも慣れぬ船の旅、そして冬の嵐。なぜお父様が連れてきたのかわからないが、温室育ちのお姫様たちにはさぞかしつらかったに違いない。

「お嬢」

声をかけてきたセディアスに頷く。

「わかってる」

おとぎ話はおとぎ話。

前世の記憶があろうとなかろうと、ここは現実の世界。

困った人がいたら、手を差し伸べるのが当たり前。そういうものよね。

「お父様、食事は済ませたの」

「いや、まずはうちに戻ってからと思って」

それならおなかもすいているはず。

「メイナード! 三人で過ごせる客室を用意して、お風呂の用意を。ユリアナ! 部屋で食べられる軽食とお茶を」

私はてきぱきと指示を出した。

なにはともあれ、客人を休ませなくては。そして詳しい話は明日聞こう。

「お父様?」

「セーラ、その」

その時お父様が目をそらしたのはなぜか、私はよく考えるべきだったのだ。
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