【完】溺愛したい子は桜鬼と呼ばれる風紀委員長でした
歩いてしばらくした時、後ろから視線を感じた。
振り向いて辺りを見渡したが、何も無かった。

気のせいかしら?誰かに見られていたような、そんな視線が感じた。

「きゃ!」

前を再び向いたら、そこにはお父さんが私の目の前に立っていた。

「よう美優。今帰りか?」

「ちょっとお父さん。びっくりさせないでよ。心臓が止まるかと思ったわ」

「すまんすまん。それよりお前、後ろ気にしてどうした?」

「ちょっと後ろから視線を感じて振り返って見てみたけど...気のせいだったみたい」

「そうか。さっ、帰るぞ。母さんが夕飯作って待ってるからな」

「えぇ...」

本当に気のせいだったのかしら?父は、私が話した時はあまり気にしていない様子だったけど、家に着くまでの数分の間で何度も後ろを確認していた。後ろを見る度、父の目は獲物を狩るかのような目つきをしていた。

その日の夜は何事もなく終わった。何故か私はこの日から嫌な予感がしていた。どうかこの予感が当たりませんように...。
< 37 / 187 >

この作品をシェア

pagetop