【完】溺愛したい子は桜鬼と呼ばれる風紀委員長でした
「あなたまで立たなくても良かったのに」

「みーちゃんが立っているのに俺だけが座っているのはなんか嫌だからね。みーちゃん、あっちの方が少し空いているからそっちに移動しよう」

それに、女の子を一人立たせる男なんてかっこわるい。

あと一駅か。もうすぐ着くぞ。って、俺の方がワクワクしてどうするんだ?浮かれすぎるにも程がある。

あれ?入口近くにいる女の子...。なんか様子が変だな。もしかして痴漢か?

俺はみーちゃんに知らせた。

みーちゃんはすぐに何か思いついたらしい。目がいつも見ている風紀委員長の、『桜鬼』の目になっていた。

「北川君。スマホでこっそり録画しておいて」

「いいけど...。みーちゃんはどうするの?」

「あの男の人を女の子から引き離すわ」

えっ!?それはみーちゃんでも危険だよ!

「それなら僕がやるよ。みーちゃんは証拠を...!」

怪我をするかもしれないのに...。

「いいえ。私がやるわ。さっきから見ていると一発投げ飛ばしたくてうずうずしてるのよ...!」

「あっ...。分かったよ。でも、危険だなって思ったらすぐに僕を呼んでね」

これはもう、俺には止められないな。みーちゃんの指示に従うしかないな。

「ええ。頼りにしてるわよ北川君」
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