【完】溺愛したい子は桜鬼と呼ばれる風紀委員長でした
そう言われて入ったのは人が滅多に入ることの無い資料室だ。

「なんでこんなところに?わっ!」

北川は美優を自分の方に引き寄せて優しく抱き締めた。

「もうそろそろいんじゃないかな?」

「何がよ」

「我慢するの。会長と話している時のみーちゃん、震えてた。怖かったんでしょ?」

「こ、怖くなんかなかったわよ。あなたの勘違いよ...!」

なんで分かったのよ。あなたはなんでいつも私のことそんなに理解しているのよ。

「じゃあなんで、今も震えているの?それも声まで」

「震えてなんかないわよ!早く離して!」

早く離してくれないと私...。

「離さないよ。離したらみーちゃん、一人で泣くつもりでしょ?」

「それが何よ。あなたにはかんけい...」

「関係あるよ!俺はだって...みーちゃんの事が...」

「私が何よ!ハッキリ言いなさいよ!バカ!」

ハッキリ言ってくれないと分からないわよ。

「もう、このまま黙っててくれ...」

「何よ意気地無し。バカ」

なんなのよもう。あなたみたいな人、大っ嫌い。それなのに、なんでかしら。北川くんといると落ち着く。私一体、どうしちゃったの?
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