夢に君を想う話
去年は、こうじゃなかったのに。



一緒に家で過ごすことが増えてきた中迎えた去年のクリスマス。


春香は慣れない手料理を作ってくれた。


ケーキは二人で一緒にデコレーションした。


小学生の時のクリスマス会みたいに、いろんなものをトッピングして、不恰好なケーキができて。





「胃もたれするね」


って苦しそうに笑うに春香が可愛くて。



来年も、再来年も、春香と一緒にクリスマスを過ごしたいなって、そう思った。





「来年はもっとすごい料理作るからね」


って意気込んでた春香の言葉に、同じ気持ちなんだって嬉しくなった。


春香はもしかしたら、忘れてしまっているかもしれないけど。




だから、惣菜だけのテーブルを見た時も、少しショックだった。

素直にごめんが言えなかった。



一緒に暮らすようになって、些細な喧嘩が増えて。


でもその度に仲直りの出来たのは、お互いがお互いを好きだったから。




だからこそ余計に、春香の「嫌い」がこたえたわけだけど、「別れる?」って聞いた時、今にも泣き出しそうだったから、きっと本心じゃないんだろう。




………そうやって確かめるなんて、最低だな、俺。
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