没落人生から脱出します!
「……だって、姉上がいなくなるなんて思わなかったんだ」
ぽつりと言ったのはマクシムだ。
「母上が、姉上を嫌っているのはわかっているよ。でも、姉上はキンスキー伯爵家の人間で、俺たちは弟だ。なのに、どうして姉上は俺たちと距離と置こうとするんだよ」
ラドミールも、顔をゆがめて吐き出した。
「坊ちゃん方」
リアンは、このふたりが昔からエリシュカの愛情を取り合いしていたことを思い出す。
(母親の愛情を一身に受けて、わがまま放題の双子だった。彼らに関してはエリシュカの方から距離を置きたがっていたな)
「……そこまでエリシュカお嬢様を大事に思うのなら、なぜ、彼女に居場所を作ってあげなかったのですか」
ならば歩み寄ってあげればよかったはずだ。跡継ぎの男児であるマクシムとラドミールには両親ともに甘かった。彼らが両親とエリシュカの間を繋いであげればよかったのに。
そういうと、マクシムはきょとんとリアンを見つめ返した。
「何言ってるんですか、リアン。姉上の居場所はもともとあるでしょう。キンスキー伯爵家に生まれた以上、家の決まりに従うのは当然です。なのに逆らって出て行く姉上がおかしいんですよ」
まるで、エリシュカの自我は抑え込まれて当然のように、マクシムは言う。リアンは少し空恐ろしく感じた。
ぽつりと言ったのはマクシムだ。
「母上が、姉上を嫌っているのはわかっているよ。でも、姉上はキンスキー伯爵家の人間で、俺たちは弟だ。なのに、どうして姉上は俺たちと距離と置こうとするんだよ」
ラドミールも、顔をゆがめて吐き出した。
「坊ちゃん方」
リアンは、このふたりが昔からエリシュカの愛情を取り合いしていたことを思い出す。
(母親の愛情を一身に受けて、わがまま放題の双子だった。彼らに関してはエリシュカの方から距離を置きたがっていたな)
「……そこまでエリシュカお嬢様を大事に思うのなら、なぜ、彼女に居場所を作ってあげなかったのですか」
ならば歩み寄ってあげればよかったはずだ。跡継ぎの男児であるマクシムとラドミールには両親ともに甘かった。彼らが両親とエリシュカの間を繋いであげればよかったのに。
そういうと、マクシムはきょとんとリアンを見つめ返した。
「何言ってるんですか、リアン。姉上の居場所はもともとあるでしょう。キンスキー伯爵家に生まれた以上、家の決まりに従うのは当然です。なのに逆らって出て行く姉上がおかしいんですよ」
まるで、エリシュカの自我は抑え込まれて当然のように、マクシムは言う。リアンは少し空恐ろしく感じた。