没落人生から脱出します!
(叔父様は、本当にレオナさんのことが好きなのね)
ここに来てから聞かされたのろけ話は、両手でも数えきれない。出会ったときの話。まだ若いレオナに結婚を申し込み、父親から許可を得るまでに、相当の努力を要したこと。
話している彼はとても嬉しそうで、エリシュカは羨ましかった。
好きな人と力を合わせて家庭を築いたブレイクは、まさにエリシュカの理想だ。まして前世の記憶から考えればあたり前のことなのに。どうして貴族階級では許されないのだろう。
(考えても仕方ないか。それより、叔父様のためにもレオナさんが元気に起き上がれるような方法を考えなきゃ)
頭を切り替え、難題に向かい合う。今のままではレオナは死なないだけだ。起きていられる時間は週に数時間とわずかで、まともな生活が送れているとは言いがたい。ブレイクも魔力供給に関わる負担が多すぎる。
(どこかに無尽蔵に湧く魔力があって、それを与えられればいいのだけど。……そんな都合のいいものがあるわけないよねぇ。自然の魔力が凝縮されたのが魔石だけど、高価だし……。どんな生命体にも無害な魔力の塊があれば……)
エリシュカは前世の知識を思い出す。エネルギーを生み出すものはいろいろあったはずだ。風を、熱を、日光を電気に変えたように、自然の力を魔力に作り替える機構を作れれば、多くの人を救えるかもしれない。