没落人生から脱出します!
 * * *
 
 屋敷の中は、出て行ったときよりもさびれていた。
 やはり大量の魔力供給が追い付かなくなったのか、魔道具のシャンデリアが取り外され、旧式のランプが取り付けられている。

(少しは、私の進言も聞いてくれたのか)

 使用人の数も、前よりは減っていた。困窮具合が見て取れて、少し切ない気持ちになってしまう。

「姉上!」

 二階からマクシムとラドミールが揃って現れた。

「どこに行ってたんだよ」
「あなたたちこそ、学校は?」
「テスト休暇さ。戻る前に姉上に会えてよかったよ」
「そうだよ。俺たち、リアンの店にまで捜しにいったんだぜ」

 右にマクシム、左にラドミールに囲まれ、話しながら部屋まで向かう。

「あなたたち、リアンに失礼なことをしていないでしょうね」

 エリシュカが釘を刺すと、マクシムたちは不機嫌そうに眉を寄せた。

「逆でしょう。リアンが俺たちに失礼なことばかりするんだ」
「そうだよ。あいつ、偉そうに俺たちに説教するんだぜ?」

 双子は相変わらずの横柄な態度だ。エリシュカはイライラしてしまう。

「リアンは私やあなたたちより大人よ。ちゃんと働いて生活しているんだもの」
「でも平民だ」
「平民の何が悪いの」
「姉上こそ、言動には気を付けてください。嫁入り先でおかしなことばかり言うと、離縁されてしまいますよ」

 マクシムにたしなめられ、その手があったかと思う。

(嫌われて離縁されるって手もあったわね。一度は嫁ぐんだし、約束を破ることにはならないか)

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