没落人生から脱出します!
リアンの魔道具
ここ数日、キンスキー伯爵の元には、モーズレイの資産管理人を名乗る男が何度か訪れていた。土地売買についての詳細を、決めているのだという。
「あのモーズレイという男、相当木材に価値を見出しているようだな。今や斜陽産業だというのに、市場の流れも分かっていないようだ」
ほくそ笑んでいる父親を、エリシュカは軽蔑の目で見つめる。林業が斜陽産業なのは確かにそうなのだが、先祖代々受け継がれた土地を、こうもあっさり手放すことにどうにも釈然としない。
「お父様は、本当に山を手放していいのですか?」
「なんだ、エリシュカ。怖気づいたのか? まあお前にしてみれば、結婚の方が将来安泰ではあるからな」
「結婚は嫌です。私はモーズレイさんのもとで働く方がいいですよ」
「……おかしな娘だな。私には理解ができん」
父親はそういうと、話を打ち切ってしまった。理解しようと気が全くない態度に、エリシュカもため息をつく。
(迎えが来るのは、明日)
あれから何度か子ネズミを使ってブレイクとコンタクトを取ろうとしたが、反応はなかった。
今は分からないことだらけだが、父親の手の内から出られれば、モーズレイから真実が聞けるだろう。その時までの我慢だ。
「あのモーズレイという男、相当木材に価値を見出しているようだな。今や斜陽産業だというのに、市場の流れも分かっていないようだ」
ほくそ笑んでいる父親を、エリシュカは軽蔑の目で見つめる。林業が斜陽産業なのは確かにそうなのだが、先祖代々受け継がれた土地を、こうもあっさり手放すことにどうにも釈然としない。
「お父様は、本当に山を手放していいのですか?」
「なんだ、エリシュカ。怖気づいたのか? まあお前にしてみれば、結婚の方が将来安泰ではあるからな」
「結婚は嫌です。私はモーズレイさんのもとで働く方がいいですよ」
「……おかしな娘だな。私には理解ができん」
父親はそういうと、話を打ち切ってしまった。理解しようと気が全くない態度に、エリシュカもため息をつく。
(迎えが来るのは、明日)
あれから何度か子ネズミを使ってブレイクとコンタクトを取ろうとしたが、反応はなかった。
今は分からないことだらけだが、父親の手の内から出られれば、モーズレイから真実が聞けるだろう。その時までの我慢だ。