没落人生から脱出します!
「そうですね」
「覚えてないかもしれないが、小さな頃、お前は必ず俺に言ったんだ。半分こしようって。俺は使用人なのに、いつだって、自分のものを分け合おうとする。……だから、俺にとって、エリシュカは仕えるべき相手というよりは、家族のようだった」
頭がチクンとする。抱きしめられたリアンのにおい。助けてくれる温かい手。そして……。
リアンの言ったような光景が、頭にぱっと広がっていく。
「……フリッターを」
「え?」
「リアンが叱ってくれたんです。私がわがまま言ったとき。せっかく用意してくれたアリツェにひどいこと言ったから。一緒に謝ってくれました」
アリツェはリアンの母親だ。そうだ。ずっと昔から、リアンは一緒にいて、一緒に考えてくれた。分からないからといって投げ出さず、同じ目線に立とうとしてくれた。
「私が言うニホンの道具のこと。リアンだけがちゃんと聞いてくれて、絵にも描いてくれたんです」
「思い出したのか?」
エリシュカは、涙を浮かべた顔で頷く。
「はい。今、凄く鮮明に記憶がよみがえってきました。私、リアンと一緒にいると、道具が作れなくても、楽しかったんです。だから、いつもついて回ってました。リアンはお仕事があるのに、おままごとにつき合わせて、拾った木の実をごちそうして」
「覚えてないかもしれないが、小さな頃、お前は必ず俺に言ったんだ。半分こしようって。俺は使用人なのに、いつだって、自分のものを分け合おうとする。……だから、俺にとって、エリシュカは仕えるべき相手というよりは、家族のようだった」
頭がチクンとする。抱きしめられたリアンのにおい。助けてくれる温かい手。そして……。
リアンの言ったような光景が、頭にぱっと広がっていく。
「……フリッターを」
「え?」
「リアンが叱ってくれたんです。私がわがまま言ったとき。せっかく用意してくれたアリツェにひどいこと言ったから。一緒に謝ってくれました」
アリツェはリアンの母親だ。そうだ。ずっと昔から、リアンは一緒にいて、一緒に考えてくれた。分からないからといって投げ出さず、同じ目線に立とうとしてくれた。
「私が言うニホンの道具のこと。リアンだけがちゃんと聞いてくれて、絵にも描いてくれたんです」
「思い出したのか?」
エリシュカは、涙を浮かべた顔で頷く。
「はい。今、凄く鮮明に記憶がよみがえってきました。私、リアンと一緒にいると、道具が作れなくても、楽しかったんです。だから、いつもついて回ってました。リアンはお仕事があるのに、おままごとにつき合わせて、拾った木の実をごちそうして」