没落人生から脱出します!
 力強くはないが、意思の強さを感じさせるような、ハキハキした口調だ。

「いいえ。謝らなきゃならないのは私の方です。お父様がご迷惑をかけて、ごめんなさい」
「あなたが謝ることじゃないわ。それよりも私たちの方こそ謝らなきゃ。ブレイクったら、みすみすあなたをお義兄さまに渡してしまうなんて」

 レオナにじろりと睨まれて、ブレイクは一瞬目をそらす。

「悪かったって」
「かわいい姪っ子を守るお金を出し惜しみするなんて最低よ」
「だって僕の資金は君を救うためにも必要だから」

 言い合いをしているのに、それすらも睦み合いのように思えるほど、ふたりの間の空気が甘い。エリシュカは少しばかりいたたまれなくなる。

「エリシュカちゃん。ブレイクはね、今のお義兄様の借金を返すことくらい、訳ないのよ。なのに、あなたをかくまうだけで、何もしなかったの。ひどいでしょう」
「自分の手で、守れる量には限りがあるんだよ。僕はレオナが一番なんだ。できるだけ、守るものを増やしたくはなかった。でもね、エリシュカ。君は僕の大切な人を守るために、力を尽くしてくれた。だから僕も、これからは最大限の力で君を守るよ」

 レオナはブレイクを責めるけれど、ほとんど音沙汰がなかった姪が、突然家出したと言ってやって来たのだ。すぐに追い出されてもおかしくないのに、庇ってくれたし居場所を作ってくれた。ブレイクはできるだけのことをしてくれただろうとエリシュカは思う。

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