没落人生から脱出します!


 レオナが疲れたように目を閉じたので、エリシュカは部屋から退散することにした。これからレオナが寝付くまで、ブレイクは部屋から出ることはないだろう。

「話は終わったか?」
「リアン……」

 廊下でずっと待っていたのだろうか。扉から反対側の壁に寄りかかるようにして、リアンが立っていた。

「待っていてくれたんですか」
「さっきの話がまだ途中だ」

 言われて、さっきのことを思い出す。プロポーズにも似た宣言を思い出せば、顔が勝手に赤くなってしまう。

(いやでも。ただの親愛の情かもしれないし)

 ドキドキする胸をなんとか抑える。余計な期待をして口走って、せっかく戻ってこられた大切な場所を失うのは嫌だ。
 緊張が強いエリシュカとは対照的に、リアンはすっかりリラックスしているようで、ちょこちょこと後をついて行くエリシュカに、微笑んで見せる余裕まである。

 リアンに連れてこられたのは、以前、エリシュカが使わせてもらっていた部屋だ。
 部屋の中央に、それまではなかった足の長い丸テーブルと椅子がある。ただ、普通のテーブルと違うところが一点あった。
 テーブルは天板が二重構造になっていて、その間に布が挟まっている。

「これ、コタツ……?」

 足が長く、エリシュカが前世の記憶として知っているものとは違う。しかし、つくりはいかにもコタツだ。テーブルの下をのぞき込むと、熱源装置と思われる魔道具もついている。

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