没落人生から脱出します!
 今回作られた『レイトン商会』は、登録上は魔道具商会となる。出資者がブレイクとリアン。経営者がモーズレイとリアンという構成で、レイトンはモーズレイのレイとリアンの姓であるオーバートンのトンを合わせて作った名前だそうだ。

「そう言えば、リアンは『魔女の箒』の方はいいんですか?」

 リアンは『魔女の箒』の店長だ。こちらは『ブレイク魔道具商会』の販売店舗である。

「ああ。商会の立ち上げと共に、俺は辞めたんだ。今の店長はヴィクトルで、販売員として、ヴィクトルの妹が増えている。あっちの店は完全に販売とメンテナンス受付の店舗になり、魔道具の作成の方はレイトン商会で引き受ける。レイトン商会の位置づけとしては、ブレイク魔道具商会の下請けという形だな」
「そうなんですね」
「ちなみにエリシュカは、レイトン商会の雇用という形になる。『魔女の箒』には午後にでも顔を出しに行くから、一緒に行こう」
「はい!」

 ヴィクトルとリーディエに会うのも久しぶりだ。心配をかけたことを謝りたい。


 エリシュカたちがお茶をゆっくり飲んでいる間に、ブレイクが戻ってきた。

「はい、お待たせ。じゃあ、打ち合わせをしよう。議題は、レイトン商会の木材を利用した事業についてなんだけど。エリシュカの許可さえ取れれば、僕たちはあの〝コタツ〟をとりあえずの目玉商品として売り出していくつもりなんだ」
「コタツを?」

 それは素敵な提案だ。大部分は木材を使用するし、これから冬になれば冷えは気になる。新しい商会の目玉商品としてはなかなか画期的な気がする。

「いい提案だと思います。でも、……どうして私に相談を?」
「リアンが、発案者はエリシュカだから、エリシュカの許可がなければ作成方法を公開しないっていうものだから」

 ブレイクが片目をつぶる。
 エリシュカは驚いてリアンを見る。そんなことエリシュカ本人は気にもしていなかった。
 リアンはコホンと咳ばらいをした。

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