没落人生から脱出します!
*
翌日は、モーズレイとブレイク、リアンと共にキンスキー家から買い取った森林に行く。木こりや木材加工業者ともそこで落ち合うよう連絡してある。
先にモーズレイとブレイクが馬車を降り、エリシュカはリアンに手を支えてもらって最後に降りた。
待ち構えていた人々の視線が、一気にエリシュカの方に集まる。
「エリシュカお嬢さん!」
「良かった。俺たちは、伯爵家から見捨てられたわけじゃねぇんですね?」
エリシュカを囲むように集まってくるので、リアンは両手を広げてけん制した。
「落ち着いてください。皆さん」
「だって……。いきなり山林は売ったなんて言われたんですよ。俺たちゃ、これを生業にして生きてるんだ。だってのに、いきなりそんなことを言われて。伯爵様は俺たちのことなんて何も考えてくれやしない。……あ、すみません」
五十代くらいの男が、忌々しそうに言い、途中で我に返ったように謝った。
「いいえ。謝らなければならないのはこちらの方です。皆さんにちゃんと説明されてなかったんですね」
エリシュカが頭を下げると、木こりたちはすがるような目で彼女を見る。
「山林を買い取ってくださったのは、こちらのモーズレイさんとオーバートンさんが経営するレイトン商会です。彼らは今まで通り、キンスキー領で木こりとして働いてくださった方の雇用は維持するつもりでおりますし、賃金も今まで通りお支払いします。私も、管理に携わらせていただきますから、不満や要望があったら、遠慮なくおっしゃってくださいね」
エリシュカの説明に、男たちは顔を見合わせ、ようやく安堵の息を漏らした。
「エリシュカお嬢さんがいるなら、安心だな」
たしかに彼らの立場に立ってみれば、いきなり仕事先を売られたのだ。新しい経営者の意向次第では失業してしまう。心配になってあたり前だ。
つくづく、自分勝手に動く父親に、エリシュカは呆れた。
「エリシュカ嬢には、あなた方との窓口を担当していただく。木材加工の代表の方はおられるかな。今後作っていく商品について、必要な部品の話をしたい」
リアンはそう言うと、加工業者との話に入る。エリシュカとモーズレイは、そのまま木こりたちとの伐採計画の打ち合わせに入る。
翌日は、モーズレイとブレイク、リアンと共にキンスキー家から買い取った森林に行く。木こりや木材加工業者ともそこで落ち合うよう連絡してある。
先にモーズレイとブレイクが馬車を降り、エリシュカはリアンに手を支えてもらって最後に降りた。
待ち構えていた人々の視線が、一気にエリシュカの方に集まる。
「エリシュカお嬢さん!」
「良かった。俺たちは、伯爵家から見捨てられたわけじゃねぇんですね?」
エリシュカを囲むように集まってくるので、リアンは両手を広げてけん制した。
「落ち着いてください。皆さん」
「だって……。いきなり山林は売ったなんて言われたんですよ。俺たちゃ、これを生業にして生きてるんだ。だってのに、いきなりそんなことを言われて。伯爵様は俺たちのことなんて何も考えてくれやしない。……あ、すみません」
五十代くらいの男が、忌々しそうに言い、途中で我に返ったように謝った。
「いいえ。謝らなければならないのはこちらの方です。皆さんにちゃんと説明されてなかったんですね」
エリシュカが頭を下げると、木こりたちはすがるような目で彼女を見る。
「山林を買い取ってくださったのは、こちらのモーズレイさんとオーバートンさんが経営するレイトン商会です。彼らは今まで通り、キンスキー領で木こりとして働いてくださった方の雇用は維持するつもりでおりますし、賃金も今まで通りお支払いします。私も、管理に携わらせていただきますから、不満や要望があったら、遠慮なくおっしゃってくださいね」
エリシュカの説明に、男たちは顔を見合わせ、ようやく安堵の息を漏らした。
「エリシュカお嬢さんがいるなら、安心だな」
たしかに彼らの立場に立ってみれば、いきなり仕事先を売られたのだ。新しい経営者の意向次第では失業してしまう。心配になってあたり前だ。
つくづく、自分勝手に動く父親に、エリシュカは呆れた。
「エリシュカ嬢には、あなた方との窓口を担当していただく。木材加工の代表の方はおられるかな。今後作っていく商品について、必要な部品の話をしたい」
リアンはそう言うと、加工業者との話に入る。エリシュカとモーズレイは、そのまま木こりたちとの伐採計画の打ち合わせに入る。