没落人生から脱出します!
「そうですよね」
「……俺はまだいい。もう年ですからな。でも、若いもんの未来を考えれば心配です。生まれ育った土地ですし、思い入れは十分にあるけれど、このままキンスキー領にいて大丈夫なのかは不安になりますよ」

 それは、おそらく平民たちの心の声だ。領主が利益だけを追い求め、領民のことを考え無くなれば、信頼関係は無くなり、やがて、領民の方から見限られる。

「……ごめんなさい」

 エリシュカはいたたまれなくなって、謝罪を口にした。

「お父様が、……ごめんなさい」

 ブレイクと木こりは顔を見合わせ、苦笑する。

「嬢ちゃんのせいじゃないですよ。いつだって俺らのために頑張ってくれたこと、知っています」

 涙が出そうになる。彼らの生活を守るために何かしたい。無力なままでいたくない。

「エリシュカ。僕たちにできることは、事業を成功させることだよ。彼らの仕事を無くさないためにも、頑張らないとね」
「はい!」

 改めて、土地を守る重要さを思い知った一日だった。

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