没落人生から脱出します!
*
木こりたちが暗い顔をしているのに、エリシュカが気づいたのは、春の初めだ。
「どうかしたのですか?」
エリシュカの問いかけに、最初は曖昧に誤魔化して笑っていた彼らだったが、若いひとりの木こりが耐えかねたように木の幹を叩いた。
「ああもう、やってられねぇよ!」
「きゃっ、どうしました。ジョンさん」
驚くエリシュカに、モーズレイが守るように前に立つ。
「エリシュカお嬢さん、アンタ知ってるのか? 伯爵様が税金を上げたこと」
「……え?」
エリシュカにとっては、寝耳に水の話だ。
「ど、どういうことですか?」
「コタツが売れて、お前たちも収入が上がっているんだろうと言って……。たしかに、伯爵領に住んでいる俺たちは、税金を払う必要があるけれど、仕事の収入の増減は関係ないだろう? 別に住んでいる伯爵領の地価が上がったわけじゃない」
ジョンの言うとおりだ。魔道家具の作成によって、木材の需要は高まっている。それによって、山林の地価は上がってはいるが、すでに手を離れているキンスキー家には関係ない話のはずだ。
「お父様ったら、また……!」
エリシュカは怒りに震える。どうして弱いものにばかり、負担を強いろうとするのだろう。自分の父であることが恥ずかしい。
「私、直談判してきます」
「やめとけって、エリシュカ。また閉じ込められたらどうするんだ。リアンは絶対に許可しないと思うぞ」
「でも……」
木こりたちが暗い顔をしているのに、エリシュカが気づいたのは、春の初めだ。
「どうかしたのですか?」
エリシュカの問いかけに、最初は曖昧に誤魔化して笑っていた彼らだったが、若いひとりの木こりが耐えかねたように木の幹を叩いた。
「ああもう、やってられねぇよ!」
「きゃっ、どうしました。ジョンさん」
驚くエリシュカに、モーズレイが守るように前に立つ。
「エリシュカお嬢さん、アンタ知ってるのか? 伯爵様が税金を上げたこと」
「……え?」
エリシュカにとっては、寝耳に水の話だ。
「ど、どういうことですか?」
「コタツが売れて、お前たちも収入が上がっているんだろうと言って……。たしかに、伯爵領に住んでいる俺たちは、税金を払う必要があるけれど、仕事の収入の増減は関係ないだろう? 別に住んでいる伯爵領の地価が上がったわけじゃない」
ジョンの言うとおりだ。魔道家具の作成によって、木材の需要は高まっている。それによって、山林の地価は上がってはいるが、すでに手を離れているキンスキー家には関係ない話のはずだ。
「お父様ったら、また……!」
エリシュカは怒りに震える。どうして弱いものにばかり、負担を強いろうとするのだろう。自分の父であることが恥ずかしい。
「私、直談判してきます」
「やめとけって、エリシュカ。また閉じ込められたらどうするんだ。リアンは絶対に許可しないと思うぞ」
「でも……」