没落人生から脱出します!

 モーズレイが止めたが、エリシュカは悔しさを我慢しきれない。木こりたちは、エリシュカにとっては一緒に頑張ってきた仲間だ。その人たちを苦しませているのが、自分の親であることが情けない。

「なあ、俺たち、ここに住んじゃだめなのかな」

 木こりのひとりがぽつりと言う。

「木材を切り出したことで、少し家を建てられる空間ができたじゃないか。ここだったらレイトン商会の領地になるんだろ? 地代は商会に払えばいいだけじゃないか」

「ま、待ってください。でもそうしたらお子さんたちの学校とかの問題が出てきますよ」

 地方の学校は、地方領主が出資して成り立っているため、領民でなければ入れないのだ。

「まあでも、俺らの子は皆木こりになるからなぁ。勉強ったって、大して……なぁ」
「駄目ですよ。読み書き計算はできないと、騙されることにもなりかねませんから」
「だったら、レイトン商会で用意してくれねぇかな。エリシュカお嬢様が教えてくれてもいい。俺たちがここに住んだら、領民だろ?」

 どんどん、話が広がっていく。
 このままでは、爵位も持たない一商会が、領民を抱えることになってしまう。

「お、叔父様とリアンに相談させてくださいっ」

 パニックになったエリシュカは、それでひとまず木こりたちを落ち着かせたのだった。
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