没落人生から脱出します!
「結婚かぁ。エリシュカお嬢さんがねぇ」
リアンとエリシュカはブレイク夫妻と相談し、二ヵ月後に教会で式を挙げることにした。
その報告を木こりたちにもすると、彼らは感慨深げにうなずいた。
「じゃあ、お嬢さんはキンスキー家の人じゃなくなっちまうのか」
「そういうことになりますね」
「あー心配だなぁ。俺たちちゃんと暮らしていけるのかな」
「私個人の立場と皆さんへのサポートは関係ありませんから、心配なさらないでください」
レイトン商会では、納税に苦しむ木こりのために、無担保での金銭の貸し出しを行っていて、エリシュカは、その担当者だ。その資金はレイトン商会の余剰利益を使っていて、レイトン商会に登録している木こりならば、返済は報酬から天引きするシステムを取っている。
そこで重要なのが、木こりとのコミュニケーションの上手なエリシュカの存在で、彼女が、木こりたちの生活実態を考慮し、返済計画を立てているのだ。
「お嬢さんみたいに、俺らの生活の心配までしてくれる貴族はいないからさぁ。伯爵なんて足りなくなれば領民から搾り取ればいいと思ってるんだ」
「……父が横暴ですみません」
「お嬢さんを責めているわけじゃねぇよ」
木こりはブンブンと手を振って慌てだす。