没落人生から脱出します!
ブレイクと国王の会話を聞きながら、アルダーソン侯爵が感慨深げに頷いた。
「いや、セナフル殿はキンスキー伯爵の弟御だと聞いておりましたが、思慮深くまっとうな方なのですな」
「……兄がなにか?」
「勝手な領土の切り売りに税の滞納。挙句、領土維持には支援金が必要だなどと、自らの領地運営能力を棚に上げて、進言してくるのですぞ。どこまで面の皮が厚いのかあの男は」
アルダーソン侯爵はすごい勢いでキンスキー伯爵をこき下ろしている。
(なんだ? いったい何をしでかしたんだ、兄上は)
「まあ落ち着け、アルダーソン侯爵」
国王が間に入ってくれ、侯爵の悪態が一度止まる。ブレイクもようやく逸れた話題から戻ってこられてほっとした。
「ブレイク。そなたに此度の高魔力水製造装置の開発の功績を受けて、叙爵の話が出ているのだ」
「私が……ですか?」
キンスキー伯爵家を出てレオナと結婚してから、ブレイクは商人として生きてきた。今更、貴族に戻りたいとは思っていないが、褒美として取らせられるのならば、受け取らないわけにもいかない。
「それは、……光栄です」
「通常なら、一代貴族として男爵位を与えるところなのだが。ここで相談だ。アルダーソン侯爵の言うように、キンスキー伯爵の行動が最近目に余るようになってきたのだ。キンスキー伯爵領の人間が逃げてきて困っているという周辺貴族の申し出もある」
「はあ」
「幸い、君はあのキンスキー伯爵の血縁だ。兄にその資格がないとなった場合、弟が継承することに何の問題があるだろう」
「いや、セナフル殿はキンスキー伯爵の弟御だと聞いておりましたが、思慮深くまっとうな方なのですな」
「……兄がなにか?」
「勝手な領土の切り売りに税の滞納。挙句、領土維持には支援金が必要だなどと、自らの領地運営能力を棚に上げて、進言してくるのですぞ。どこまで面の皮が厚いのかあの男は」
アルダーソン侯爵はすごい勢いでキンスキー伯爵をこき下ろしている。
(なんだ? いったい何をしでかしたんだ、兄上は)
「まあ落ち着け、アルダーソン侯爵」
国王が間に入ってくれ、侯爵の悪態が一度止まる。ブレイクもようやく逸れた話題から戻ってこられてほっとした。
「ブレイク。そなたに此度の高魔力水製造装置の開発の功績を受けて、叙爵の話が出ているのだ」
「私が……ですか?」
キンスキー伯爵家を出てレオナと結婚してから、ブレイクは商人として生きてきた。今更、貴族に戻りたいとは思っていないが、褒美として取らせられるのならば、受け取らないわけにもいかない。
「それは、……光栄です」
「通常なら、一代貴族として男爵位を与えるところなのだが。ここで相談だ。アルダーソン侯爵の言うように、キンスキー伯爵の行動が最近目に余るようになってきたのだ。キンスキー伯爵領の人間が逃げてきて困っているという周辺貴族の申し出もある」
「はあ」
「幸い、君はあのキンスキー伯爵の血縁だ。兄にその資格がないとなった場合、弟が継承することに何の問題があるだろう」