没落人生から脱出します!
国王から呼び出され、戻って来たブレイクの報告を聞いて、エリシュカは驚いた。
「叔父様、貴族になるんですか?」
「うん。高魔力水作成装置開発の報奨だって。一代貴族だから男爵位だけどね」
「でもすごいです」
「エリシュカやリアンがいなかったら開発できなかったものだから、僕だけがもらうのも違う気がするんだけどね」
ブレイクは苦笑するが、エリシュカだけがいたところで、夢想するだけで開発などできないのだから、やはりブレイクがいてこそだろうと思う。
「そんなことありませんよ。きっかけが『森の息吹』だっただけで、これまでのおじ様の努力のすべてが認められたってことです。誇っていいことですよ」
「君は本当にいい子だねぇ」
ブレイクにポンポンと頭を撫でられ、エリシュカは頭を抑えつつ、「本当ですよ!」と付け加える。
叙爵式は来月。結婚式よりひと月前だ。
「あわただしくて申し訳ないけど、君にも来てほしいんだよね」
そう言って、ブレイクはリアンとエリシュカも招待してくれた。もちろん妻であるレオナも行く。
「ねぇ、エリシュカちゃん、ドレスどうしましょうか」とレオナは心躍らせていた。
「叔母様、無理しないでくださいね。私の刺繍のドレスもありますし。何なら私、手伝いますから」
「あら。これは私の楽しみなのよ。奪わないで頂戴、エリシュカちゃん」
笑ってくれるレオナに感謝しつつも、エリシュカは心配だ。
「レオナのドレスは心配しなくても僕が揃えてあげるよ。君は僕の宝物だからね。一番似合うドレスを作ってあげる」
「ブレイク、私、大人っぽいドレスがいいわ。あなたの隣で見劣りしないような」
レオナは、魔力欠損病で寝ていた期間、体の成長がゆっくりになっていて、実年齢に比べて若く見えることを気にしているのだ。
「どんな格好でも見劣りなんてするはずないけどね。いいよ。君の望むことならなんでも」
相変わらずの熱々ぶりに、見ているエリシュカの方が恥ずかしくなってくる。
「リアンもつれていくから、エリシュカから話しておいてよ」
「は、はい!」