没落人生から脱出します!
*
ブレイク夫妻とリアンとエリシュカは、馬車に乗り、四日かけて王都にたどり着いた。
「うわぁ~!」
エリシュカは社交界デビューをしていないため、王都に来るのは初めてなのだ。
建物が大きいし、ひしめき合っている。もちろん前世の記憶の街の方が大きいが、普段田舎の町にいるエリシュカには、なかなか壮観だ。
「すごいですね。叔母様、見てください。きれいなドレスも売ってます」
「まあほんとね。小物もたくさんあるわよ」
「あとでゆっくり見る時間を取ってあげるよ。とりあえず宿に落ち着こう。君の体で無理してはいけないよ」
ブレイクはレオナをいとおし気に見つめ、腰を抱いてエスコートする。
エリシュカがそんなふたりをキラキラした眼差しで見ていると、すぐ隣にいたリアンが腕を差し出してきた。
「いいんですか?」
「慣れてないから下手かもしれないが、エスコートくらいさせてくれ」
耳まで赤いリアンの腕に、ぎゅっとしがみつく。
「えへ」
「……こうでいいのか?」
前を行くブレイク夫妻に倣って歩く。馬車を降りてから、宿の部屋までの短い距離だが、エリシュカばバージンロードを歩いているような幸せな気分だった。
翌日は朝から大忙しだ。
ブレイクが頼んでいたメイドが、エリシュカとレオナの着付けをしている間、ブレイクとリアンもなれない礼装に身を包みながら、打ち合わせをしている。
「え……?」
「というわけだから。よろしくね」
「こんな大事なこと、なんで先に相談してくれないんです」
「先に言ったら、あの子のことだ。辞退するに決まっているじゃないか」
「つまり、……ブレイク様はエリシュカにほかの選択肢は残していないんですね?」
「……僕はずるいからね」
ぱちりと片目を閉じられても、かわいくはない。
リアンはあきれたように彼を眺め、ため息をついた。
ブレイク夫妻とリアンとエリシュカは、馬車に乗り、四日かけて王都にたどり着いた。
「うわぁ~!」
エリシュカは社交界デビューをしていないため、王都に来るのは初めてなのだ。
建物が大きいし、ひしめき合っている。もちろん前世の記憶の街の方が大きいが、普段田舎の町にいるエリシュカには、なかなか壮観だ。
「すごいですね。叔母様、見てください。きれいなドレスも売ってます」
「まあほんとね。小物もたくさんあるわよ」
「あとでゆっくり見る時間を取ってあげるよ。とりあえず宿に落ち着こう。君の体で無理してはいけないよ」
ブレイクはレオナをいとおし気に見つめ、腰を抱いてエスコートする。
エリシュカがそんなふたりをキラキラした眼差しで見ていると、すぐ隣にいたリアンが腕を差し出してきた。
「いいんですか?」
「慣れてないから下手かもしれないが、エスコートくらいさせてくれ」
耳まで赤いリアンの腕に、ぎゅっとしがみつく。
「えへ」
「……こうでいいのか?」
前を行くブレイク夫妻に倣って歩く。馬車を降りてから、宿の部屋までの短い距離だが、エリシュカばバージンロードを歩いているような幸せな気分だった。
翌日は朝から大忙しだ。
ブレイクが頼んでいたメイドが、エリシュカとレオナの着付けをしている間、ブレイクとリアンもなれない礼装に身を包みながら、打ち合わせをしている。
「え……?」
「というわけだから。よろしくね」
「こんな大事なこと、なんで先に相談してくれないんです」
「先に言ったら、あの子のことだ。辞退するに決まっているじゃないか」
「つまり、……ブレイク様はエリシュカにほかの選択肢は残していないんですね?」
「……僕はずるいからね」
ぱちりと片目を閉じられても、かわいくはない。
リアンはあきれたように彼を眺め、ため息をついた。