没落人生から脱出します!
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領地に戻ってからは、大忙しだ。自身の結婚の準備に加え、伯爵となるための勉強までしなければならない。
「本当に私でいいのでしょうか。……というか、お父様は納得していませんよね」
「まあそうだろうね。君ひとりで伯爵家に行くと何をされるかわからないからね。僕かリアン、もしくはアルダーソン侯爵の貸してくれた護衛を連れて行くといいよ」
アルダーソン侯爵は、本当にエリシュカにひとり護衛をあてがってくれたのだ。名前はレッド・グローヴ、剣術大会で優勝したこともある腕前の剣士だ。
エリシュカは恐る恐る彼を見る。リアンと同じくらいの背丈の彼は、常にぴしりと背を伸ばし、実直そうな顔でぺこりと礼をする。
「なんだか申し訳ないです。私なんかのために」
「お気遣いなく。侯爵様は個人的にキンスキー伯爵に恨みがあるようですし、そうでなくとも、お嬢様に恩を売るのは得策だと判断しているようです。なにせ、高魔力水発生装置の発案者はお嬢様だというじゃないですか」
「お、大袈裟です。実際、構造を考えたのはリアンと叔父様ですし」
「なんにせよ、侯爵様はお嬢様に価値を感じておられるから、私に護衛をするよう命じられたのでしょう。お嬢様が無事に伯爵を追い出すまで帰って来るなと言われております」
「追い出すって……」
レッドの言い方に笑ってしまう。
「まあでも、君みたいな人がいると、助かるよ」
「とにかく、伯爵の今後の処遇を考えなきゃならないだろう。すでに書類上はエリシュカが伯爵なんだから」
「それなのですけど……」
エリシュカが語った提案に、ブレイクとリアンは「エリシュカは甘いなぁ……」とつぶやきつつも、了承した。
領地に戻ってからは、大忙しだ。自身の結婚の準備に加え、伯爵となるための勉強までしなければならない。
「本当に私でいいのでしょうか。……というか、お父様は納得していませんよね」
「まあそうだろうね。君ひとりで伯爵家に行くと何をされるかわからないからね。僕かリアン、もしくはアルダーソン侯爵の貸してくれた護衛を連れて行くといいよ」
アルダーソン侯爵は、本当にエリシュカにひとり護衛をあてがってくれたのだ。名前はレッド・グローヴ、剣術大会で優勝したこともある腕前の剣士だ。
エリシュカは恐る恐る彼を見る。リアンと同じくらいの背丈の彼は、常にぴしりと背を伸ばし、実直そうな顔でぺこりと礼をする。
「なんだか申し訳ないです。私なんかのために」
「お気遣いなく。侯爵様は個人的にキンスキー伯爵に恨みがあるようですし、そうでなくとも、お嬢様に恩を売るのは得策だと判断しているようです。なにせ、高魔力水発生装置の発案者はお嬢様だというじゃないですか」
「お、大袈裟です。実際、構造を考えたのはリアンと叔父様ですし」
「なんにせよ、侯爵様はお嬢様に価値を感じておられるから、私に護衛をするよう命じられたのでしょう。お嬢様が無事に伯爵を追い出すまで帰って来るなと言われております」
「追い出すって……」
レッドの言い方に笑ってしまう。
「まあでも、君みたいな人がいると、助かるよ」
「とにかく、伯爵の今後の処遇を考えなきゃならないだろう。すでに書類上はエリシュカが伯爵なんだから」
「それなのですけど……」
エリシュカが語った提案に、ブレイクとリアンは「エリシュカは甘いなぁ……」とつぶやきつつも、了承した。