没落人生から脱出します!
 小さな教会なので、式も簡易的なものだ。
 揃って入場し、神父の前で一礼する。互いに誓いを立て、神に結婚を報告し、結婚宣誓書に署名する。退場の後に、フラワーシャワーというイベントが用意されている。唯一の華やかな演出だ。

「エリシュカ・キンスキーを妻とし、生涯ともに添い遂げることを誓いますか?」
「はい」

 リアンがよどみなく答え、同じ問いかけに、エリシュカも「はい」と答える。
 そして誓いのキスだ。
 緊張したまま顔を上げれば、リアンが優しい目でエリシュカを見つめている。

「約束するよ。お嬢の……エリシュカの望むものはこれからも俺が作る。魔道具も、家庭も、一緒に」
「リア……」

 名前を呼ぶ前に唇が触れた。
 ずっと、エリシュカを支えてくれたリアン。これからは彼が夫になるのだ。ふたりで作る家庭はきっと、前世の家族のように温かいものとなるだろう。

「こたつ、おきましょうね。みんなで入るんです。この先、子供ができたら、家族で囲みましょう?」
「ああ」

 にっこりと笑い合い、署名を終える。
 揃って参列者に礼をした後は、参列者たちが先に教会の外に出て、フラワーシャワーの準備に入る。
< 243 / 244 >

この作品をシェア

pagetop