没落人生から脱出します!

「なんなのこれ、話ができるのはすごいけど、短すぎるわ」
「仕方ない。ブレイク様は一日に使用できる魔力量がとても少ないんだ」

 リアンは舌打ちをすると、子ネズミをリーディエに渡し、エリシュカを軽く睨んだ。

「まず君が本当にブレイク様の姪かどうかを証明してもらおう」
「証明って言われても」
「さっきのデンワ……通称子ネズミを持っているか?」
「それならあるわ」

 エリシュカは鞄の中からネズミのおもちゃを取り出した。
 リアンは奪うようにそれをとると、鼻を押したり、裏返したりして念入りに確認した。

「おもちゃを模しているんだな。通話場所も選べないし、試作機に近い。それにこの刻印は、初期のものだ。……ということはやはり、ブレイク様が作ったものか」
「なんなのこれ、話ができるのはすごいけど、短すぎるわ」
「仕方ない。ブレイク様は一日に使用できる魔力量がとても少ないんだ」

 リアンは舌打ちをすると、子ネズミをリーディエに渡し、エリシュカを軽く睨んだ。

「まず君が本当にブレイク様の姪かどうかを証明してもらおう」
「証明って言われても」
「さっきのデンワ……子ネズミを持っているか?」
「それならあるわ」

 エリシュカは鞄の中からネズミのおもちゃを取り出した。
 リアンは奪うようにそれをとると、鼻を押したり、裏返したりして念入りに確認した。

「おもちゃを模しているんだな。通話場所も選べないし、試作機に近い。それにこの刻印は、初期のものだ。……ということはやはり、ブレイク様が作ったものか」

 ブツブツとつぶやくリアンを、エリシュカは黙って見つめる。
 彼を見ていると、なぜか、懐かしい気持ちになる。彼はエリシュカのことを知っていそうだったから、きっと会ったことがあるのだろう。覚えていないということは、記憶を失う七歳以前の知り合いなのだろう。

(でも、十年前ならこの人も子供だったはずよね? 私が同じ年の子と会うようになったのは学校に行き始めてからだけど……)

 エリシュカは考えに耽っていると、手のひらにポンとネズミを返された。

「君がブレイク様の血縁ということは間違いないようだな。彼は郊外の屋敷に住んでいるんだ。来るのは明日になるから、出直してほしい。……さっき家出したと言っていたが、今日泊まるあてはあるのか?」
「いいえ」

 エリシュカは首を振る。あては無いが、先ほど換金はしたから、宿を捜せばいいだろう。
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