没落人生から脱出します!
「なにこれ」
「これも魔道具なんだ。すまん、ちょっと魔力の制御に失敗した」
リアンは鍋の傍にあるボタンに指をあて、小さくつぶやいた。
ボタンで操作できるなんて、夢の世界で見たIHヒーターのようだ。エリシュカも興味深く見つめる。
「まだ試作品なんだ」
「これ、作ったものなの?」
「ああ。ブレイク様はこういった魔力を使った道具を製造・販売している。試作品を作って、気に入ってもらえれば採用してもらえるんだ」
「そうなの!」
リアンは気を取り直したように、鍋のふたを開け、味付けの仕上げをした。
「……詳しい話は、ブレイク様を交えてした方がよさそうだ。さ、飯だ。腹が減ってはなにもできないからな」
「はい!」
元気に返事をして、エリシュカは手伝いをかってでた。スープをお椀によそり、パンを運ぶ。具材が少ないのは、もともとひとり分の量しか用意していなかったからだろう。
それでも、突然来たエリシュカにこうして食事をふるまってくれる彼は、きっと優しい人だ。さっきも盾になろうとしてくれた。ぶっきらぼうな口調だが、行動の端々に優しさが見え隠れする。
「いただきます」
手を合わせて言うと、リアンはふっと笑った。
「どうしたの?」
「いや? ……記憶が無くてもお嬢だなと思っただけだ」
自分の何が彼にそう思わせたのか、エリシュカには分からない。ただ、その懐かしそうなまなざしに、そのままの自分を受け入れてもらえたような安堵があった。
「これも魔道具なんだ。すまん、ちょっと魔力の制御に失敗した」
リアンは鍋の傍にあるボタンに指をあて、小さくつぶやいた。
ボタンで操作できるなんて、夢の世界で見たIHヒーターのようだ。エリシュカも興味深く見つめる。
「まだ試作品なんだ」
「これ、作ったものなの?」
「ああ。ブレイク様はこういった魔力を使った道具を製造・販売している。試作品を作って、気に入ってもらえれば採用してもらえるんだ」
「そうなの!」
リアンは気を取り直したように、鍋のふたを開け、味付けの仕上げをした。
「……詳しい話は、ブレイク様を交えてした方がよさそうだ。さ、飯だ。腹が減ってはなにもできないからな」
「はい!」
元気に返事をして、エリシュカは手伝いをかってでた。スープをお椀によそり、パンを運ぶ。具材が少ないのは、もともとひとり分の量しか用意していなかったからだろう。
それでも、突然来たエリシュカにこうして食事をふるまってくれる彼は、きっと優しい人だ。さっきも盾になろうとしてくれた。ぶっきらぼうな口調だが、行動の端々に優しさが見え隠れする。
「いただきます」
手を合わせて言うと、リアンはふっと笑った。
「どうしたの?」
「いや? ……記憶が無くてもお嬢だなと思っただけだ」
自分の何が彼にそう思わせたのか、エリシュカには分からない。ただ、その懐かしそうなまなざしに、そのままの自分を受け入れてもらえたような安堵があった。