没落人生から脱出します!
「お客様、手を離してください」
リーディエの腕をつかんでいた客の手を払い、エリシュカはリーディエをかばうように前に立った。
「エリク!」
「リーディエさん、下がって」
背は、リーディエの方が少し高い。いくら男装しているからといって、心まで男になったわけでもないし、元が貴族令嬢なのだから力だってたかが知れている。対峙する男から見れば、きっと子供に見えるはずだ。なのに、彼女が男を毅然と睨みつける様は、不思議な風格があった。
「なんだ、お前は」
「お話はこちらで伺います。うちの従業員を離してください」
「お前みたいなガキじゃ話にならん! 店主を呼んでくれ」
「もちろん呼びに行きます。ですが、女性従業員への高圧的な態度を見逃すわけにはまいりません」
リーディエは青くなった。その言い方では、男のいら立ちに油を注ぐだけだ。
なのになぜか不思議な気分だ。目の前に立つのは小さな背中なのに、リーディエをたしかに男の圧から守ってくれている。
(誰かに守られることなんて……)
リーディエには、母親意外に守ってくれる手がなかった。私生児だといじめられても誰もかばってなどくれない。だから、リーディエは強くならなければならなかったのだ。生きていくために。
リーディエの腕をつかんでいた客の手を払い、エリシュカはリーディエをかばうように前に立った。
「エリク!」
「リーディエさん、下がって」
背は、リーディエの方が少し高い。いくら男装しているからといって、心まで男になったわけでもないし、元が貴族令嬢なのだから力だってたかが知れている。対峙する男から見れば、きっと子供に見えるはずだ。なのに、彼女が男を毅然と睨みつける様は、不思議な風格があった。
「なんだ、お前は」
「お話はこちらで伺います。うちの従業員を離してください」
「お前みたいなガキじゃ話にならん! 店主を呼んでくれ」
「もちろん呼びに行きます。ですが、女性従業員への高圧的な態度を見逃すわけにはまいりません」
リーディエは青くなった。その言い方では、男のいら立ちに油を注ぐだけだ。
なのになぜか不思議な気分だ。目の前に立つのは小さな背中なのに、リーディエをたしかに男の圧から守ってくれている。
(誰かに守られることなんて……)
リーディエには、母親意外に守ってくれる手がなかった。私生児だといじめられても誰もかばってなどくれない。だから、リーディエは強くならなければならなかったのだ。生きていくために。