没落人生から脱出します!

 不思議そうに、彼は小首をかしげる。外見からすれば幼い動作だ。

「君の治療は確かにしたけれど、医者とは違うんだ。それよりね、魔道具は君の体にはあまりよくない。……これからはここに来てはいけないよ」
「え、でも」

 フレディはあたりを見る。そしてエリシュカを見つけると手を伸ばした。

「僕、エリク君と友達になりたいんだ。それに、……そこのお姉さん」
「え」

 リーディエがびくりと反応する。

「お姉さんとも仲良くなりたいな。僕と同じ赤い瞳だ。散歩しているときいろんな人を見たけど、同じ色の瞳の人には出会ったことが無いんだよ。うれしいなぁ」

 人懐っこく笑われて、笑い返そうとしたリーディエの頬はぎこちなく固まった。
 ブレイクは彼の頭を撫で、自分の方へ顔を向けさせる。

「……フレディ君。君は今日倒れたんだ。お父さんが心配することはわかっているだろう。しばらくは外出を控えて、男爵邸の敷地内だけを散歩しなさい」

 諭すように言われて、フレディは唇を尖らせたが、渋々といった風に頷いた。

「よし。もう大丈夫だよ。護衛くん、馬車を呼んでくれるかな。今日は安静にさせるように男爵に伝えて。また様子を見に行きますとね」
「はい。ありがとうございました」

 すぐに馬車の手配を整え、護衛と共にフレディが帰っていく。
 エリシュカはなんとなく体が重く、椅子に身を預けていた。フレディに送った魔力が思いのほか多い。
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