かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


「別に相沢さんが退屈しないなら話すよ。どうしても隠しておきたいわけでもないし。……でも、俺の性格の悪さも関係してるし幻滅されないかが不安だけど」

浮かべている笑みを、わずかに不安そうに崩す桐島さんをじっと見る。

最近わかったのだけれど、桐島さんは結構表情を作っていると思う。
それで私の気持ちを操ろうとしているとか、そこまでおおげさなものではないにしても、私が受ける印象を考えているんだろうなということには気付いていた。

今のこれも、きっとそうなのかもしれない。
見るからに言いにくそうな顔を見せられた私が、可哀相に思い〝また今度でいいです〟と言い出すのを待っているのかもしれない……と考えたのだけれど。

「だったらそれで本当におあいこですね。私も過去の話を桐島さんにするの、結構恥ずかしかったので」

この間、私だって強引に引き出されたのだからこっちだって簡単には引けない。
桐島さんが迷惑がっているというわけではないとさっき確認した以上、遠慮はしない。

やや責めるように言うと、桐島さんはいよいよ諦めたみたいに笑った。



「今朝の子は川田っていうんだけど、中学三年で初めて同じクラスになったんだ。席が隣で雑談の中でお互いの親が医者だってわかった。しかも同じ大学病院勤務だって。俺からしたら、だからって別になにも思わなかったけど、川田は違ったみたいだった。川田っていうより川田家側っていった方が正しいかな」

ベンチソファが向かい合うような配置の半個室。桐島さんは背もたれに背中を預けながらネクタイを緩める。


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