かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


川田さんが桐島さんをあそこまで強引に誘い出してしたい話は、告白なのか。
それとも……他になにかあるのだろうか。

『もしかしたら、恋人も一緒でいいかって聞いた時点で引き下がる可能性もある』

ランチの最後、桐島さんの言っていた可能性が現実になるといいな、と思っていたのだけれど……そんなに甘くはないらしい。

十九時。
約束通り会社前で待っていた川田さんの様子からそう悟った。

並んで足を止めた私たちを確認した川田さんは、桐島さんに視線を移し「こちらは?」と聞く。

「彼女。いくら中学の同級生とはいえ、異性とふたりで会って変な誤解を招くのは避けたいから俺が連れてきた。こちら、相沢澪さん。職場恋愛なんだ」

紹介され、「初めまして。相沢です」と頭を下げる。
川田さんは驚きを顔に広げてから、眉を寄せ桐島さんを見た。

「つまり、一緒に行くってこと?」
「そのつもりだけど。そもそも先に約束していたのは相沢さんの方だしね。今朝、川田があまりに強引に話を進めるから断れなかっただけで。だから、川田が気に入らないなら約束はなかったことでも……」
「別にいいわ。そちらの彼女さんも一緒にどうぞ。お店は予約してあるから早く行きましょ。ああ……でも、向かいながら人数の変更の電話入れなくちゃ」


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