かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました

「緒方さん、見た目によらず肉食系なんですね……。しかも男前っていうか」

意外とまではいかなくても、ここまで私にあけすけに話してくれるとは思わなかった。
最初の印象とはだいぶ違っていた。だいぶサバサバしている。

そう話すと、緒方さんはにこっと笑う。

「この間相沢さんに猫かぶったのは、その時の印象が桐島さんにそのまま伝わるかもしれないと思ったからああいう態度をとっただけで、これが地なの」
「地の方が、個人的には好感が持てる気がしますけど……」

この間よりもよっぽど話しやすいし好きだと思い言った私に、緒方さんはおかしそうに笑う。

「相沢さんにモテたところでしょうがないでしょ。まぁでも、ギャップって大事だし使い分けてるの。男って好きじゃない、そういうの」

思わず「え、そうなんですか？」と聞いてから、ハッとする。
友達でもない、他部署の先輩に対してこんな不躾に質問してよかったかな、と今更ながら思ったけれど、緒方さんは気にするわけでもなく答えてくれる。

「ないよりはあった方がいいんじゃない？　自分だけに見せる顔があるって男女関係なく嬉しいものだと思うし。相沢さんなら普段飾らないでクールな分、甘えたりボディタッチ増やしたりしたらすごいギャップになると思うけど」

提案され想像してみたものの、自分が甘えている姿がまず見ていられるものではないし、それに……。

「桐島さんの戸惑ってる顔が目に浮かぶようです……」

キョトンとした顔を想像して苦笑いをこぼす。
そんな私に、緒方さんは「ほら、やっぱり桐島さんが好きなんじゃない」とニヤッと口の端を上げた。