かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました
「で、どうするの? 告白しちゃう?」
食べ終わったサンドイッチのゴミをまとめながら聞いてきた紗江子に驚く。
告白って……。
「え、しない……っていうか、告白ってみんなそんなすぐするの?」
気持ちに気付いたのは昨日だ。
まだそんな選択肢を迫られるようなステージには立っていないと思っていただけにびっくりして聞くと、紗江子は背もたれに寄り掛かりながら答える。
「人によるかなー。私は気持ちに気付いたら、我慢してるのもなんかもったいなくて結構早い段階でしちゃうけどね」
「ああ、そういえば陸のときもそうだったもんね」
陸とふたりで初めて出かけた翌日、『どうしよう、好きかも!』と高いテンションで言った紗江子は、その二日後には告白していた。
そのスピード感には当時も圧倒されたけれど、好きな人ができた今考えると改めてすごいなと思う。
「でもさ、ずるい考え方かもしれないけど、私は陸に玉砕したところでそれ以降会おうとしなければ会わないじゃない? だから強く出られたってところはある。これがたとえば同じ部署の人が相手だったりしたら簡単には告白しなかったし。断られたらそれから毎日仕事が今以上の地獄になっちゃうもん」
「そうだよね……。振られたあとも毎日顔合わせるって、お互い気を遣うし疲れそう」
「そう。だから、行内だとかクラスだとか同じコミュニティの場合は相手も自分を好きっていう確証がない限りは難しいかも」