かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


「それは、俺が好きだってとってもいい?」

聞かれて気づく。
そういえば、桐島さんの気持ちは聞いたけれど、私は肝心な言葉を言っていなかった。

でも……こんな至近距離から見つめられたままの状態での告白なんて、初心者の私にはハードルが高すぎる。

愛しさを乗せているように見える眼差しは今だ私を捉えたままで、恥ずかしさと緊張から目を伏せると、やや強引に顔を上げられた。

無理やり合わせられた視線に息を呑む。

「ごめん。待ってあげたいところだけど……もう焦らされるのも限界なんだ」

困ったような微笑みには懇願が浮かんでいた。

「返事を聞かせてほしい」

切羽詰まったように言われ心臓が跳ねる。
顎に添えられた手は今だ私が顔を逸らすのを許してくれず、上がったままの心拍数は一向に戻ってくる気配を見せない。

ずっと、桐島さんにドキドキさせられっぱなしだ。

でも……それも私だけじゃないんだと思うと、自然と笑みがこぼれた。

「私も散々焦らされたので、これでおあいこです」

照れながらも笑って言った私に、桐島さんが眉を寄せる。
きっと望んでいた返事じゃなかったからだろう。

桐島さんはやや不服そうな顔で言う。


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