かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました

「桐島さ……んっ」

顎を固定するように支えている桐島さんの右手。その親指が私の下唇に触れる。
ふわふわしたキスを繰り返されてろくに働かなくなった頭は鈍くしか動かなくて、ただされるがままになっていると、そのうちにまた唇が重なった。

今までとは違い、ただ触れるだけではないキスに肩が跳ねる。
入り込んできた舌の感触に、ぼけていた思考回路も飛び起きるほど驚く。

思わず一歩たじろぎそうになった私の腰を、いつの間にか回っていた桐島さんの腕が押さえるように支えた。

腰に巻き付いた腕と、顔を固定する手。
逃げ道がないまま深まるキスに戸惑うことしかできず、心臓は破裂しそうな勢いで鳴っていた。

「ん、ぅ……」

私の咥内をじっくりと確かめるように撫でる桐島さんの舌に、背中をぞくぞくとした感覚が落ちていく。

緊張から体は強張っているのに、頭の中はろくに考えられないほどに溶け出していて、その矛盾に心が戸惑う。

「んん……ん、ぁ……」

長く口付けていた桐島さんがようやく離れる。

私の唇がきっとだらしなく濡れたままだったからだろう。ふっと目を細めた桐島さんが再度近づきペロッと唇を舐めるから、大げさなほどに肩が跳ねてしまった。

そんな私を桐島さんが愉快そうに笑う。