かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました
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デートに誘われたのは、そんな話をした土曜日。
先週も映画に出かけたので、朝から待ち合わせてのデートはこれで二回目だ。
少し遠出をして向かった先は、大きな遊園地。とは言っても、アトラクションがたくさんあるわけではなく、パーク内の半分は自然を楽しむための遊歩道で、私たちも乗り物よりもそちら目的で出向いた。
季節もいいし、日々の運動不足解消のためにゆっくり歩くのもいいかもしれないと私がぼそっとこぼした言葉を、桐島さんが拾ってくれて実現した。
なので、せっかくのデートだけど私も桐島さんも、ジーンズにスニーカーというラフな格好だ。
樫の木が両脇に並び、葉の影が落ちる歩道を並んで歩く。
十月に入ったので、さすがに半袖一枚で歩いている人は見かけない。ところどころに木の遊具もあるので、子供連れの姿もあれば、高齢の夫婦の姿もあった。
いつも通りのはずの時間が、ここだけゆっくり流れているようでとても落ち着く空間だった。
「初めてきたけど、たまにはこういうところもいいね」と話す桐島さんにうなずく。
「そうですね。すごく気持ちいいです。結構、走ってる人も多いんですね」
数分に一度はランナーとすれ違う気がする。
「一周で二キロらしいから計るのにちょうどいいのかもね。それに、人目があるから女性は防犯っていう意味でも安心して走れそうだし」
「あ、そうですね。家族連れが多いと安心しますよね。私もこういう場所が近くにあれば少しは走る気にもなれるのかなぁ」
通勤とデスクワークだけの毎日じゃ正直体がなまる。それは如実に体重に現れ、入行時よりも二キロ増えてしまった。
あまり痛手にならないうちに脂肪を落としたいけれど、ジムにお金をかける気にはならないし、家の周りはあまり走っている人を見かけないので躊躇している。