かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


「そもそも、部署も違うし付き合ってるって知れ渡ったところで仕事には響かないなら、お互いが本気なのに隠しておく必要はないしね」

キラキラとした笑顔で言われてしまえば、なにも言えない。
正論で押し切られ反論の余地はないように感じた。

ここで渋ったら、私が本気じゃないと言っているようなものだ。

そういえば、桐島さんはただ優しいだけじゃなく、打算的だということを思い出す。
彼の頭の中では、私がうなずかざるをえなくなると計算済みなんだろうと思うと、ますます反対する気にはなれなかった。

たぶん、別の切り口に変えたとしても、桐島さんはもうシミュレーション済みなんだろう。

「そう、ですね」

勝てる気がしない。私の完敗だ。



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