かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました
「2LDKなら、澪が今住んでる部屋の間取りと同じだし、落ち着いて過ごせるかと思うよ」
「それは……そうかもしれないですけど、そもそもあんな高そうなマンションの家賃、いくら折半でも私には……」
「ああ、それなら問題ない。あのマンションは父親が持っているもので、俺も格安で借りてるし、澪に払わせるつもりもないから」
あんな立派なマンションを所有しているのか……と驚く。
でも、格安価格で借りているなら、半分出せるかもしれない。今の部屋も広さがあるから結構いい家賃払っているし、今までと同じくらいで済むなら……と考えてから、問題はお金じゃないと思い直す。
その前に……だって、同棲って……。
「お父さんの持っているマンションって……そこで同棲なんて、大丈夫なんですか?」
わざわざ同じマンション内で2LDKの部屋に引っ越すなんて言ったら、理由を聞かれるはずだ。
それに、管理会社に任せているにしても、お父さんが所有しているなら調べようとすれば誰が住んでいるかわかるかもしれない。
そう思って聞いた私に、桐島さんはいらない心配だとでも言いたそうに笑った。
「大丈夫だよ。マンションの部屋の相談をしたときに、両親には澪のことも話してあるから」
「え……っ」
「会ってみたいって言ってたから、澪の都合のいい時にでも一緒に行こう」
土曜日、情事後のベッドで浮かべていたキラキラした笑顔を向けられ、言葉を失う。
そういえば、桐島さんはやけに私たちの関係をオープンにしようと提案していた。
あれって……。