かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


『とりあえず、私にまずい部分があったようなので、今後同じことの繰り返しにならないよう、預金部の部長には今、土田さんから言われたことをそのまま報告しておきますね。あ、私の主観を入れて話を大きくしたりおかしくしたりしませんので、そこは安心してください。これだけ証人がいますし』

結局、土田さんから答えは返ってくることはなく、同じテーブルについていた預金事務のメンバーからは、〝よく言い返した!〟とばかりに肩を抱かれたり握手を求められた。

土田さんは、部長をのぞいた預金事務のメンバーには基本的にあたりがキツイ。みんなそれを、まぁ言い返したところでな……と考え、こちらが大人になって我慢していた。

だから私もこれまではずっと耐えてきたのだけど……まぁ、私の虫の居所が悪かったのもあり、アルコールが入っていたのもあり、ついうっかり言い返してしまった。

今までの我慢が爆発したというのと、あと元からの性格もあるんだろう。

そんな土田さんは、未だに預金事務に対しては態度が大きく、そして嫌味を言う。
けれど私に対しては必要以上に絡んでこなくなったから、あの一件が効いているってことなのだろうか。

「こっちだってさぁ、好きでミスしてるわけじゃないじゃない。っていうか、そもそもは土田さんがコードの記入ミスしたんだよ。私はその通り印字しただけ。これ、私のせいじゃないじゃない?」
「うん」

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