かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


「好きじゃないのに付き合ったりしたのが悪かったんだなって、思って」

桐島さんはやや驚いた顔で私を見た。

「気持ちがないのに付き合ったりするタイプには見えないけど……ああ、でも中学生の頃ならありえる話か。興味本位なのか恋なのか、区別するには未熟すぎるしね」

それなりに納得した様子の桐島さんに「そうかもしれないですね」とうなずいてから続ける。

「元々は陸に薦められて付き合いだしたんです。黒田が私のこと好きだって言ってるからって言われて。ちょうどその頃……ちょっと落ち込んでて自暴自棄になってたから、まぁいいかなって深く考えずに付き合ったのがそもそも間違いだったんだなって、そんなことがあってから思いました」

笑みを作って「以上です」と話を切る。
そんな私に、桐島さんは困ったように笑ってから背中を壁に預けた。

「でも、とりあえず第三者の意見として言わせてもらえば、女の子に暴力をふるってる時点で最低だよ。それが咄嗟であろうとなんだろうと。だから、相沢さんが気にする必要はないと思う」

桐島さんがグラスを持ち上げると、中の氷がカランと音を立てた。
二杯目のレモンサワーも残り1/3ほど。飲み始めてから時間も経つのに、桐島さんの顔は赤くならないし性格的にも変わった様子はない。

アルコールに強いのかな、と思いながら眺めていると、体を起こした桐島さんがテーブルに両肘をつく。


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