かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


「いつでも冷静でいられそうな相沢さんが本当に羨ましいな。私なんて、すぐにパニックになっちゃうから……。そこが可愛いとも、周りは言ってくれるんだけど私ももう可愛いだけですまされる歳でもないし。部長が可愛がってくれて甘やかしてくれるから、つい甘えちゃって。ダメね」

一方的に話しきった緒方さんが「じゃあ、呼び止めちゃってごめんね。よろしくね」と言い、手を振り去っていく。

その後ろ姿を見ていて、なんだかドッと疲れてしまった。

そこまで悪い人にも思わないけれど、ズカズカと土足で内側まで踏みこまれた気分だ。
自分に自信がある人特有のそれにあてられたのか、気持ちも、手に残されたメモも、とても重たく感じた。



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