東京ヴァルハラ異聞録

「昴少年！私に合わせろ！」


「わかってますよ！」


高山真治にトンファーを横に振るった恵梨香さん。


だが、それを高山真治は身体を逸らして回避する。


「もらった！」


そこに待ち構えるように俺が日本刀を横に振るったが、地面に倒れるようにしてさらにそれを回避。


振り抜いた後で後転し、俺を蹴りながら起き上がって恵梨香さんに日本刀を振るったのだ。


ガキンッ！と、トンファーでそれを受け止めたが、その瞬間には既に恵梨香さんの腹部に膝蹴りを放っていた。


「ぐふっ！これが高山真治か……さすがだな」


「恵梨香さん……ありがとうございます」


手は抜いていない。


だが、その目は少し寂しそうで。


高山真治自身も、愛する人と戦うのは思うところがあるのだろう。


それでもやらなければならないのだろうな。


そして、その隙を逃すわけはなかった。


拓真と沙羅が高山真治を取り囲み、武器を突き立てたのだ。


しかし手応えはない。


「こんな時に殺気の分身かよ！！」


しかも、とんでもなく純度の高い分身！


よく見ればわかるなんてレベルじゃない！


攻撃をした沙羅と拓真でさえ、手応えを感じなかった後でも、それと気付かなかったくらいに。