東京ヴァルハラ異聞録
二人が気付いた時には、高山真治は二人と向かい合って。


日本刀を沙羅の首に滑らせていた。


回避する余裕さえないこの状況。


「させないっ!」


そこに飛び込んだのは、麻衣だった。


横から沙羅を押し退け、イージスの盾で攻撃を防ぐ。


そしてその反動は全て高山真治に返る!


と、そう思ったけど。


「うおおおおおおっ!!」


気合い一閃、さらに力を込めて、反動を押し切り、日本刀を振り抜いたのだ。


イージスの盾が切断される。


麻衣の身体もその攻撃によって切断されて……拓真を巻き込んで吹っ飛ばされたのだ。


「池田っ!新堂!」


その場から飛び退き、恵梨香さんが慌てて声を掛けたが……麻衣の身体は上下に切断されていて、死は免れない状態だった。


「お、おいっ!麻衣!しっかりしろお前!!」


「拓真……ごめん。最後まで……戦えなくて」


「何言ってんだよ!ほら、一緒に元の世界に帰るんだろ!その時を見てろよ!」


麻衣は……ソウルを限界まで消費して、イージスの盾を強化したのだろう。


光の粒に変わる事なく、そのまま息を引き取ったのだ。


人が死んで行く……仲間が死んで行く。


それも、高山真治の手によって。
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