東京ヴァルハラ異聞録
刃と刃が交差する。


だが、俺は左手に持った鞘で脇腹を殴り付ける。


当たりはしたが……鞘を握る手が当たった感覚。


その攻撃を予測したのか、高山真治は一歩踏み込み、俺に頭突きを放ったのだ。


大きく仰け反る俺に対し、容赦なく斬り掛かる。


まさか、刃が交差している時に頭突きなんて。


少しでも刃をずらせば、首を切り落とされたかもしれなかったのに。


そうさせない自信があったというのか。


高山真治の刃が迫る。


俺の弱点を攻めるように、右から左から、まるで千の刃でも相手にしているかのような手数だ。


「左腕だけなのに……どうしてこんなに強いんだよ!」


「答えは簡単だろ!俺の方が強いからだ!!」


その言葉と同時に、縦に振られた日本刀が、俺の日本刀と鞘の間をすり抜けた。


……まずい。


これは……死ぬ!!


そう感じた瞬間、高山真治の日本刀が俺の身体を縦に斬り裂いた。


血が噴き出すのを見ながら、俺は後方に倒れて天井を仰いだ。


「……これで終わりか」


小さく高山真治が呟いた後、恵梨香さんと沙羅の声が聞こえた。


ダメだ……勝てない。


レベル100なのに、高山真治に勝てないのか俺は。
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